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ブログ 燃費について…4

電気自動車編

電気自動車は走行する上での排気ガスはゼロです。

なので電気自動車は

Electric Vehicle

とも呼ばれますが環境問題の定義からは

Zero Emission Vehicle

ゼロ・エミッション・ヴィークルつまり排気ガスゼロの乗り物と分類されています。

排気ガスがゼロなので

・地球温暖化に寄与する二酸化炭素CO2も

・光化学スモッグの原因になる炭化水素HCも

・人体への影響もあり光化学スモッグの原因になる窒素酸化物Noxも

・発ガン性物質といわれる粒子状物質PMも

排出しません。

わずかな磁励音とともに静かに走行します。

とはいえ、電気で走るのでどこかで電気を起こさなければなりません。

発電所の電力を送電線からもらうのですが、

効率の良い火力発電だった場合でも熱効率は60%程度。

ディーゼルエンジンの倍の効率。

環境負荷はディーゼルエンジンの50%になります。

そして、水力発電や潮力発電、風力発電、太陽光発電、

地熱発電などの自然エネルギー発電の電力を使用できれば

環境負荷はもっと小さくなります。

そういう意味で最終的には化石燃料に依存しない電気自動車が必要なのです。

そんな電気自動車が乗用車として広く普及していないのには理由があります。

電気自動車はモーターに電気を送って走るのですから電源が必要です。

電車やトロリーバスのように架線から電気をもらったり出来ればいいのですが

そんなことをすると行きたいところに行けなくなってしまいます。

行きたいところ行くためには電池をたくさん積まなければなりません。

遠くに行きたいと思えば思うほど多くの電池が必要になり、

だんだん人や荷物を載せる場所が無くなってしまいます。

排気ガスが出なくて静かな電気自動車も遠くへは行けないのです。

今、電気自動車が活躍しているのはおもに倉庫や工場で働く

フォークリフトなどの産業用自動車とゴルフ場や遊園地などに使われるカート、

そして、空港やレジャー施設、商業施設で使われるカートやコミューターです。

排気ガスが出ないので屋内での利用や

たくさん人がいるところで使用しても人体への影響がありません。

電気自動車の課題は

・遠くに行けるように電池の充電効率が良くなること

・電池の重量が軽くてすむこと

・充電の時間が短くてすむこと

が、解決しないと普及は有り得ません。

そういう問題を解決するために研究が必要な技術が燃料電池です。

・電池そのものをたくさん積むことは非現実的

・電池を出先で充電することは長時間かかるので非現実的

そういう問題の解決の為に、

短時間で供給できるエネルギー源を補給することにより電力を得ようという考えです。

燃料電池とはエネルギー源である物質を簡単に

どこでも手に入る物質と反応させて直接電気を生み出す装置。

簡単にどこでも手に入る物質とはなんでしょうか?

そう、空気です。空気は窒素が五分の四、

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酸素が五分の一で構成されていることは小学校で習います。

本当はもっといろんな物が混じっていますが、分かり易くこれだけにしておきます。

この空気の中から酸素を取り出します。

この酸素と燃料として充填された水素を反応させるとどうなるでしょうか?

そうです。水素Hを酸素Oと反応させるとH2Oで水になります。

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スクリーンショット 2015-04-26 10.48.53

この酸化反応の時に水素原子から電子が放出されます。

これにより電気が生成されるのです。

水素と酸素を安定して反応させ続けることにより

安定した電気と水を取り出すことが出来るのです。

実はこの技術は結構昔から研究されていて、

1965年に打ち上げられたアメリカの有人宇宙飛行船ジェミニ5号で

Unknown

実際に電源として採用され生成した電気は機器の電源に、

水は宇宙飛行士の飲料水に利用されました。

この技術を応用し、改良した技術を利用した自動車が燃料電池自動車。

Fuel Cell Vehicleです。

FCVは水素のボンベを搭載し高圧で圧縮した状態で水素を充填搭載。

・空気から酸素を取り出す装置。

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・そして燃料電池でこれらの気体を反応させ電気を取り出しその電気を利用してモーターを駆動する。

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今まで必要だったエンジンそのもが必要なくなるのです。

重たいエンジンの代わりにホイールの中に収まるモーターだけで

自動車を動かすことも出来るので、

その時代になると今までの車らしい形が全く変わって、

まだ小さかった時にSF映画で見たようなクルマに変わっていることでしょう。

この未来のクルマの燃料電池車は、

実はもう既に実際に公道を走っています。

一般販売もされました。トヨタが発売したMIRAIがそれです。

carlineup_mirai_top_05_pc

注文していますがまだ、納車されていません。

燃料電池車の課題は水素を作り出す工程です。

水から簡単に電気分解して得られますが、

その時に必要な電気は石油換算でおよそ3倍のエネルギー。

はっきり言って割が合いません。本末転倒です。

将来この燃料電池車がハイブリッドに代わる次世代の乗用車として誰もが使える時代になるには

これから先15年以上掛かると思います。

その過渡期を埋めるのはハイブリッドなのかディーゼルなのか?

あなたならどちらを選びますか?

水素を安定して安価に製造する技術。

それこそが燃料電池自動車を普及させる最大のカギです。

電力のエネルギー源に自然エネルギーを利用することが一番望ましい方法です。

食糧事情を悪くするバイオエネルギーに頼っている場合ではありません。

地球規模の環境保全を考えるなら

自然エネルギーを活用する方向に目を向けないと良い方向には好転しません。

目先の利益を考える企業、その宣伝文句を鵜呑みにする偽専門家、

その意見を真に受けるマスコミ、

それらの情報を吟味しないで受け入れることの無いようにしてください。

(2008/4/20にmixi日記の内容を添削して転記しています。時間の経過が7年間あったので実態にそぐわない内容もあるかと思いますがご了承ください。)

  • 2015.04.23
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