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ブログ 燃費について…1

ディーゼルエンジン編

Diesel_Engine_(4_cycle_running)

( http://ja.wikipedia.org/wiki/ディーゼルエンジン  から画像を引用)

最近よくお客様から

「ヨーロッパはディーゼルエンジンが乗用車でも主流になってるんやろ?

燃費もいいし日本は遅れてるんやろ??」

と質問されます。

ここをご覧の皆様もそのように思っていらっしゃる方が多いのではないかと思い

このテーマで書く事にしました。

結論から言うと

・日本は遅れていません。むしろ進んでいます。

・ディーゼルエンジンはガソリンエンジンより燃費(熱効率)が良いです。

では、なぜ技術的に進んでいる日本でディーゼルエンジンの乗用車への普及が無いのでしょうか?答えは簡単です。

ディーゼルエンジンは

エンジン単体の重量が重い

製造コストが高額になる

振動が大きい

窒素酸化物(Nox)の排出量が多い

粒子状物質(Paticulate Matter)の排出量が多い

他にもまだありますが乗用車に向かないのは概ね上記のような理由です。

ガソリンエンジンも窒素酸化物の排出はあります

三元酸化触媒が装着されていますのでマフラーから出る時点では排出量は極めて少なくなっています。

ヨーロッパの排出ガス規制は日本やアメリカよりかなり緩かったため

旧式のディーゼルエンジンのままで排気ガス規制をパスしていたのです。

しかしながら振動の大きなディーゼルエンジンが

今更なぜクローズアップされてヨーロッパでは普及しているのでしょうか?

それはCo2削減目標の影響です。

ディーゼルエンジンはガソリンエンジンと比較すると3割程度熱効率が良いとされています。

簡単に言うと同じ条件で走行するなら

ガソリンエンジン  10km/L

ディーゼルエンジン 13km/L

という事です。

燃料はどちらも炭化水素(HC)ですから、空気中の酸素と反応して完全燃焼するとCO2とH2O、

つまり二酸化炭素と水が生成されます。

ディーゼルエンジンのほうが同じ距離を走るなら二酸化炭素を3割減らせる事になります。

この部分をヨーロッパ自動車メーカーは重視して、

CO2削減目標に手っ取り早く到達する方法を選んだのだと思います。

その他の人体に直接悪影響を及ぼす有毒ガスにはメーカーも監督官庁も目をつぶっていたのです。

東京都への乗り入れ規制で公害の代名詞のようにされイメージの悪くなったディーゼルエンジン。

重くて振動が大きく、乗っていて不快感の多いディーゼルエンジンを

大きなコストをかけて改良するよりもこの日本では、

ガソリンエンジンの燃料消費率をディーゼルエンジン並みにする事に注力して行ったのです。

はいえディーゼルエンジンの開発をやめたわけではありません。

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ガソリンエンジンの熱効率そのものを向上させることは理論上も技術上も限界がありますので、

その他の部分に着目して開発されています。詳しくはガソリンエンジン編で述べますが代表的な技術は

シリンダー内直接燃料噴射

可変バルブタイミング機構

軽量化

燃料噴射時間のきめ細かな制御

が挙げられます。

報道を通じてヨーローッパのディーゼルエンジンの優秀さが取りざたされ

日本のユーザーに誤った認識を植え付けているようですが、

有毒ガス規制対策が不十分だったヨーロッパのディーゼルエンジンが普及したのは、

乗用車の寿命までの走行距離が日本に比べて格段に多いので、

製造コストがガソリンエンジンよりも高くてもランニングコストで回収出来るため、

ユーザーがトータルのコストを勘案してディーゼルエンジンを選択する土壌があったからです。

その土壌があったおかげでヨローッパにおいてはディーゼルエンジンの開発が進み

ユーロⅤに移行した現在では日本市場でディーゼルエンジン搭載車が

販売が出来るまでに排気ガスを浄化するシステムが確立しました。

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(2008/4/17に掲載したmixi日記の内容を添削して転記しています。時間の経過が7年間あったので実態にそぐわない内容もあるかと思いますがご了承ください。)

  • 2015.04.17
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