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ブログ 燃費について…2

ガソリンエンジン編

4-Stroke-Engine

( http://ja.wikipedia.org/wiki/ガソリンエンジン  から画像のみ転載)

前回のディーゼルエンジン編ではガソリンエンジンのほうが

あたかも優秀であるような記述したかもしれませんが実はそうでもありません。

あくまでもディーゼルエンジンが両手を挙げて次世代エンジンであるかのように

報道されていることに違和感を感じてそう思ってしまう流れを牽制したに過ぎません。

かと言って日本のガソリンエンジンの技術が劣っているわけでは決してありません。

実はガソリンエンジンには今のディーゼルエンジンに求められている

低公害化の規制は30年前に課せられていました。

このときヨーロッパは出遅れて同様の規制は日本やアメリカの10年後でした。

1980年代、ドイツの黒い森(シュバルツバルト)が

Unknown

枯れ木の山になってしまった報道をご覧になった方もいることでしょう。

これは自動車の排気ガス汚染により酸性雨が降り森を枯らしてしまったのです。

さて、当時の日本の技術ではディーゼルエンジンでガソリンエンジン同様の規制を

クリアすることが明らかに困難だったので除外されていたのです。

小学校5年生の時に「自動車の排気ガス規制」についてレポートを書いていたことを憶えています。

もちろん稚拙なレポートだったに違いありませんが、

当時の光化学スモッグなどの原因となった汚染物質についてはよく憶えています。

当時の排気ガス規制は5年計画で進められ、

昭和48年から始まった規制は昭和53年で完結します。

スカイラインでだとケンメリからジャパン。

260px-Nissan_Skyline_C111_2000_GTX-E_001

セドリックだと230から330

Nissan_Cedric_230_001

カローラだと20から30系

260px-Toyota-Corrola30

クラウンだと60〜80系

260px-ToyotaCrown_1971_1

そんな時代でした。

車が思い取りにぜんぜん走らなくなった時代でした。

この時期燃料供給システムはキャブレターが全盛。

それが垂れ流しの炭化水素を防止するために、

電子制御燃料噴射システムが取り入れられました。

いわゆるEGIとかEFIと略されるものである。

これらの規制によりガソリンエンジンの排出ガスからは

CO

HC

Nox

が激減したのです。

激減した技術は燃料噴射装置によるものだけではなく

三元触媒の装着によるところが大きいと思います。。

この三元触媒を過熱から保護し火災を防ぐために

有鉛ハイオクガソリンが姿を消していきました。

さて、そんな53年規制も時代遅れになり、

さらなる規制が平成10年から続いていいます。

この規制は22年で完結すると予定でしたが、

27年、32年と燃費基準という形で継続しています。

皆さんの車のリアガラスに一つ星から五つ星のステッカーが

貼ってあればそれは22年度からの規制にクリアしている証拠です。

ガソリンエンジンは53年度規制以降高出力化が進められました。

高出力化が必要十分に達した後は今度は低燃費が求められたのです。

折しも東京都でディーゼル車の規制が始まったと同時に

ディーゼル車のNox規制も始まりました。

そこでガソリンエンジンはディーゼル並の低燃費が求められるようになったのです。

ガソリンエンジンはもともとディーゼルエンジンと比べると

熱効率が悪く理論的にも燃費性能を良くするには限界があります。

最初に出てきたのは希薄燃焼エンジン。

いわゆるリーンバーンエンジン。

ホンダのシビックやトヨタコロナプレミオなどに搭載されました。

巡航時などの出力を比較的要求しない状態において

通常の燃料供給よりも半分ぐらいにしちゃおうというエンジンです。

制御が難しく希薄燃焼領域で走行するには、

エンジンの電子制御技術だけではなく人間の右足の抑制力も必要です。

実際このエンジンで同じ道を走行した場合Aさんは10KM/L、

私は18.5KM/Lというぐらい差が出てしまいます。

誰が運転しても低燃費を目指して出てきたのは可変バルブタイミング機構

トヨタのVVTやホンダのVTECが代表的なものですが、

本来は高出力化の技術です。それを低燃費に応用しました。

これで素晴らしく燃費がよくなりました。

さらに出てきたのはシリンダー燃焼室内に直接ガソリンを噴射する

ダイレクトインジェクションシステム。

トヨタのD-4やミツビシのGDIが代表的な技術です。

基本的にこれらはリーンバーンエンジンの発展型です。

しかしこれらのリーンバーンエンジンは

ストイキ領域(希薄燃焼)で運転すると

Noxが増大する欠点があります。

そのための触媒装置を備えるのですが、

この触媒は燃料に含まれる硫黄分と反応すると触媒効果が無くなってしまいます。

そのために今のガソリンはサルファーフリー(硫黄分ゼロ)になっています。

実際には10ppmぐらいは入っているらしいですが。

ガソリンエンジンはもともとが熱効率が悪いので、

どんなにがんばっても限界があります。

そこで燃費向上のために取られた手段は車両の軽量化。

安全性能を向上させるためには相反する行為ですが、

材質や構造の見直しが行われています。

エンジンそのものはほとんどアルミニウム合金

エンジン吸気管はプラスチック樹脂製

排気管はステンレスパイプ

にそれぞれ置き換わっています。

このようなトータルな努力により環境に配慮しながら

日本のガソリンエンジンは改良されていきました。

でももう限界です。

エンジンの効率化や軽量化では限界に近づいたので、次なる手段は

発電機を加速中に止めたり減速時にフル稼働させたりする充電制御です。

エアコンコンプレッサーの圧縮率を変化させて負荷を下げる技術も投入されました。

エアコンコンプレッサーを電動にする技術も確立されてきました。

パワーステアリングを電動にして油圧ポンプの駆動負荷もなくしました。

そして最後の手段、そう、エンジンを止めること、

アイドリングストップです。

停車中はもちろん停車寸前の制動中にも条件が揃えばエンジンを停止させます。

止めちゃえば、燃料を消費しないのは当然です。

話を少しディーゼルに戻します。

実は現在欧州で高い評価を受けているコモンレール式燃料噴射システムを搭載した

ディーゼルエンジンはもともとをたどればガソリンエンジンの燃料噴射システムの応用です。

ヨーロッパ車にはBOSCHのシステムが搭載されていますが、

もちろん日本でもある技術です。

その技術は日本のデンソーが開発しました。

日本ではNoxとPMに対する規制が厳しいのでヨーロッパ市場のようなシステムでは

国内の認可が下りなかったのです。

大型車にはやむなくその対策としてPMフィルターと

アドブルー(尿素還元)Nox低減装置が装着されいますが、

日本の場合は今のガソリンエンジンの技術とコスト比較したときに

それらを取り付けた場合のディーゼルエンジンのコストアップ・重量アップ等を

考慮するとやはりガソリンエンジンのほうが有利なのです。

静粛性が高く低騒音・低振動ですが

やはりCO2地球温暖化ガスの低減からするとディーゼルエンジンのほうが有利です。

ではなぜ日本市場では乗用車にディーゼルエンジンを投入しないのでしょうか?

それは次回のお楽しみです。

(2008/4/18に掲載したmixi日記の内容を添削して転記しています。時間の経過が7年間あったので実態にそぐわない内容もあるかと思いますがご了承ください。)

  • 2015.04.20
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