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ブログ 全員シビアコンディション

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たいていの人は新車を購入したときディーラーの営業マンから
車の取扱説明と同時にオイル交換のスパンの説明を受けていると思います。

ディーラーの営業マンのほとんどは
車の販売の専門家ではありますが、
車の整備の専門家ではありません

なので説明の時には取扱説明書に沿って説明します。
車の取扱説明書にはこう書いてあります。

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この説明書によると交換のスパンは
距離 10,000km
期間 12ヶ月ごと

というわけで営業マンも
「この車は1年または10,000km毎にオイルを交換して下さいね」
という説明になる。
これを聞いたユーザーは
「あ、うちは年間10,000kmも乗らないから1年ごとでいいんや」
と、認識してしまいます。

ところがココに大きな落とし穴があります。
欄外のわかりにくいところに小さな字で但し書きがあります。

但し、シビアコンディションでご使用の場合は別冊メンテナンスノートをご覧下さい。

てな具合のことが書かれています。
実際にその欄にはどのように書いてあるでしょうか??

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上記画像のように記載されています。

<条件A> 
走行距離の30%以上が次の条件に該当する場合
・運転していて体に衝撃を感じる荒れた路面
・石をはね上げたり、わだち等により下回りを当てたりする機会の多い路面
・ホコリの多い路面

<条件B> 
1年で20,000km以上走行する場合

<条件C> 
走行距離の30%以上が次の条件に該当する場合
・上り下りの走行が多く、ブレーキの使用回数が多い場合。

<条件D> 
一回の走行が8km以下が多い場合

以上のようにシビアコンディションを定めています。
これをどのような使用を想定しているか具体的に当てはめてみましょう。

<条件A>
自衛隊か北海道などの荒地、農地で使う車。

<条件B>
会社の営業車、運送用トラック・バスなど

<条件C>
生駒市民全員(笑)

<条件D>
お買い物に行く奥様・塾・駅への送迎に使用する車


一体どこが特別ですか??
果たして、これ以外の使い方があるのか??

と、いうわけでのお使いの車は漏れなく
すべて「シビアコンディション」です。

シビアコンディションの場合は何と書いてあるでしょうか??
もう一度そこを見てみましょう
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交換時時期は通常の1/2

と、明記してあります。
ということはオイル交換のスパンは

5,000kmまたは6ヶ月

と、いうことになります。

なんで、こんなややこしい書き方をしているか?
それはメーカーとして環境に優しい車を作っている事をアピールするためです。

廃棄するオイルを少なくしました

と、表面上ユーザーに思いこませるためです。

それともう一つ
ベンツもBMWもメーカー推奨の時期まで換えなくていいと、

営業マンもサービスフロントも断言してます。
それは新車販売時にメンテナンス料金込みで販売しているケースがあるので

短いスパンで交換するとディーラーの負担が増えてしまうことを恐れているのです。

これを信じてしまっているユーザーさんが多いです。

でも、これを信じているのではなくて単に交換を先延ばしにしているユーザーさんも居ます。

「オイルなんか入ってたら交換せんでもええやろ」

と、考えておられるユーザーさんです。
と、どうなるでしょうか??
エンジンは潤滑不良を起こし焼き付きます。

メーカーが説明する通常の交換時期が10,000kmのトラックが昨日入庫しました。
前回のオイル交換から22,000km走行しています。
メーカー推奨からほぼ倍の距離を走ってしまったわけですが、
私の推奨からは5倍も走ってしまっています。
入庫したときユーザーさんは今朝から

大きな音がするようになったから見てほしいと要望がありました。

音を一聞しただけで、再起不能が確認できました。
しかし、ユーザーさんはあきらめがつかないので
「いくらぐらい修理にかかるか調べてくれ」
とのことです。

オイルパンを外して、コンロッドビッグエンドの

メタルベアリングやシリンダーの傷を点検したところ
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4番シリンダーに傷を確認(写真上部ピストンスカート部に少しだけ見えます。)再起不能が確定しました。

メーカーが定めるシビアコンディション。
ユーザー全員が当てはまることを、どうかお見知りおき下さい。

(2008/7/20に掲載したmixi日記の内容を添削して転記しています。時間の経過が7年間あったので実態にそぐわない内容もあるかと思いますがご了承ください。)
  • 2015.05.07
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